■FMHの素敵なビジョン
FMH(フジメディアホールディングス)がビジョンを策定した。
目を見張る戦略で、強い覚悟が見える。高く評価したい。
https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/groupvision2026-2030_Ver1.pdf
1年余りガタついてきた例のアレで、FMH、特にフジテレビには正常化とコンプラが強いプレッシャーとなり、体制もがらりと改まった。だがぼくはそこに関心はなく、逆にオーバーコンプラや現場の萎縮が心配であった。
一方いま日本のコンテンツは世界に向け競争力を発揮し、成長することが求められている。ソニー、セガ、任天堂、バンナム、東宝。強い企業も並ぶ。以前はコンテンツのキングはテレビ局であり、業界の真ん中にそびえていた。ところが海外市場20兆円を目指す政府戦略の中で影が薄い。
中でもFMHは世界で戦えるメディア企業だ。テレビ、ラジオ、映像制作、出版、新聞にまたがる最大級のコングロマリットである。ここが強く輝いてくれなくてどうする。
このビジョンはフジが「コンテンツ企業」になる宣言だ。
IP(知財)を真ん中に据えて、放送・配信での供給、そしてマーチャンダイジング、ライブ、ファンダムを展開する。コンテンツ制作を軸としつつ、放送を流通手段と認識して、配信にも向き合う。さらにマーチャンダイジングなどの多角展開で成長を図る。もはや「放送局」ではない。IP会社、コンテンツ企業。この姿を待っていた。
制作力の凋落が囁かれているが、「爆弾」、「超速5cm」、「教場」といった映画ビジネスに見られるように、力はまだまだお持ちだ。
IP多角化のために協業を進める。体験型ビジネスを軸にファンダムを形成する。人材基盤に戦略投資する。打ち手も正しいと思う。
不動産売却などよりうんと大きく強いメッセージではないか。
踏み込みに期待する。ビジョンを実装してもらいたい。
ビジョンのもう一つの、目立たないが大きい柱がハード・ソフト分離。フジテレビを分割し、放送インフラ機能をFMHに統合するという。
放送局はソフト(番組・コンテンツ)とハード(電波)からなる。これを一体として経営するハード・ソフト一致が日本の放送制度だ。分離を打ち出すのはキー局初となる。2006年、総務省「竹中懇」で打ち出され、2010年に法体系が整備された20年ごしのテーマである。当時ぼくはハード・ソフトの分離を可能にする規制「緩和」策を強く主張し、なぜか放送業界の反発をくらい、民放連出禁の一因にもなった。
放送局にはIP-コンテンツ戦略と並び、ハード-テクノロジー戦略が必要だ。コンテンツ価値を最大化するため、通信を含むマルチネットワークでマルチデバイス向けに提供する「通信・放送融合」は業界からも認知されるようになった。一方、ハード=電波ビジネスの本格化は目指されていない。電波で食べていると思われながら、電波はビジネス資源と位置づけられていない。
ハード=電波はこれまで、自前コンテンツ1本を乗せて伝送する広告ビジネスだった。が、デジタル化し時分割/周波数分割などして他の映像を乗せたりデータを運んだりできるし、通信目的にも使い得る。通信・放送両用免許も制度の道を開いた。放送の電波を通信利用する「IPDC」技術の開発や実証も民間団体を作って進めた。が、実装するテレビ局がなく、制度も動いていない。
今回のビジョンはまだ組織・会計分離にとどまるように見える。分離したハード機能、インフラ機能をビジネスとしてどう展開するかの戦略までは見えない。ハードとしては、他社ネットの活用、クラウドの活用、データの活用などグループ全体のテクノロジー展開も重要テーマとなる。次のステップを期待する。
ビジョンと併せて提示されたという、子会社たるフジテレビの「企業理念」もよい。
現行の企業理念は「社会的責任、社会貢献、明るい職場」。エンタメ企業、コンテンツ企業のものではない。創造性の匂いがしない。例のアレで、「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却、が目指されていたことを物語る。
新しい企業理念は、改めて「楽しさ」にこだわるものとなっている。「その楽しさは、何のためにある?」を自らに問い、「楽しさ」をキーワードとする行動規範を並べる。いいね。正しい姿勢に戻ってきた。
難儀なできごとがあり、組織が浄化されて1年。ハードを分離して相対化し、IPーコンテンツ企業となる。護送船団の放送業界において、凹みがあったからこそ、先駆けてポジションが取れるのかもしれない。
ピンチをチャンスに。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c0bf06fd8ef85604d4bba28bd8442024c610254
| ●iU | 学長 |
| ●京都大学防災研究所 | 研究員 |
| ●一般社団法人CiP協議会 | 理事長 |
| ●一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム | 理事長 |
| ●一般財団法人デジタル政策財団 | 理事 |
| ●一般社団法人国際公共経済学会 | 会長 |
| ●一般社団法人デジタルリスク協会 | 理事長 |
| ●一般社団法人ソーシャルインパクト | 理事長 |
| ●一般社団法人超教育協会 | 専務理事 |
| ●CANVAS | 副理事長 |
| ●日本スタンフォード協会 | 理事 |
| ●日本ビジネスモデル学会 | 理事 |
| ●少年ナイフ | 特別顧問 |
| ●一般社団法人日本eスポーツ協会 | 特別顧問 |
| ●一般社団法人データ流通推進協議会 | 顧問 |
| ●一般財団法人大川ドリーム基金 | 評議員 |
| ●公益財団法人 子ども未来支援財団 | 評議員 |
| ●「安心ネットづくり」促進協議会 | 代表理事 |
| ●東京大学先端科学技術研究センター | 身体情報学分野アドバイザー |
| ●Superhuman Sports Committee | 発起人 |
| ●京丹後市 | 最高デジタル責任者 |
| ●活力ある地方を創る首長の会 | 特別顧問 |
| ●デジタル政策フォーラム | 発起人 |
| ●POP POWER PROJECT(PPP) | 発起人 |
| ●一般社団法人日本民間放送連盟 ネット・デジタル関連ビジネス研究プロジェクト | 座長 |
| ●融合研究所 | 主筆 |