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情報通信白書コラム「フィクションで描かれたICT社会の未来像」1/27

■情報通信白書コラム「フィクションで描かれたICT社会の未来像」1/27


平成27年版情報通信白書が公表されました。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000084.html
たとえば、
「地方企業のICT活用に遅れ、都市部並み進展で20万人雇用創出」
http://jp.reuters.com/article/2015/07/27/idJPL3N10724Y20150727
のようにあちこちで記事になっています。

 が、ぼく的には今年のハイライトは、通信自由化30年を総括した冒頭と、各章の末に設けたコラム「フィクションで描かれたICT社会の未来像」。

 で、このコラム、ウチの博士課程の亀山泰夫さんが原案執筆したんです。つまりぼくらのリアルプロジェクトのアウトプット。 -- もちろん亀山さんはその道の第一人者。

 フィクション、特にポップカルチャーに登場したメディアを拾いだして論評するもので、ヴェルヌ「月世界旅行」に始まり、鉄腕アトム、ゴジラ、月光仮面、遊星王子、ナショナルキッド、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、スーパージェッター、ジャイアントロボ、鉄人28号、宇宙少年隊、地球SOS、猿の惑星、2001年宇宙の旅、日本沈没、電脳コイル、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン(ビデオシーバー)、サンダーバード(5号機のコンピューター)、キャプテン・スカーレット、謎の円盤UFO、スター・ウォーズ、宇宙水爆戦、アベンジャーズ、ベイマックス、アバター、マクロスシリーズ、味ラジオ、スタートレック、攻殻機動隊、ドラえもん、ニューロマンサー、ソードアート・オンライン、ファウスト、フランケンシュタイン、ドラえもん、星を継ぐもの、空中都市008アオゾラ市のものがたり、声の網、ブレードランナー、イヴの時間、ほかが登場します。

 われらが稲見昌彦さんの光学迷彩も、舘暲さんのテレイグジスタンス!も、超人スポーツ協会も紹介されています。
 白書は全省庁協議のうえ閣議にもかけられて公表、なので、霞ヶ関の多くの官僚が読んでOKを出したもので、えらいパンクなことです。
 そしてこの白書、オープンデータというやつで、フリー素材なんです。白書のまんまだと読んでもらいにくくてもったいない。
 ので、ここで全文掲載しちゃいます。
 27本あります。
 毎日夕食時、1コラムずつ載せていきますんで、よろしく。


「フィクションで描かれたICT社会の未来像」

1.概観~ICT端末
 これまでマンガや小説、アニメ、映画といった分野のフィクション作品の中では、豊かな空想のもとに様々な形でICT社会の未来像が描かれてきた。未知なる技術に対する憧れや期待が描かれたこれらの作品は、人々に未来に対する具体的なイメージを抱かせるとともに、新しい技術やサービスの開発に向けた指針や動機を作る助けにもなってきた。

 この「フィクションで描かれたICT社会の未来像」では、主に1960年代以降に発表された様々な分野(マンガ、アニメ、映画、小説等)のフィクション作品を取り上げ、主にSFと呼ばれる分野にあたるこれらの作品の中でどのようにICT機器や未来社会が描かれたかを調査するとともに、現在の視点から見た実現状況の分析を行う。

 各パートで扱う作品の選定にあたっては、Facebookに開設したご意見募集ページ「みんなで考える情報通信白書」でのアンケート(以下、「Facebookアンケート」)とともに、関連分野の研究者、作品関係者等のご意見も参考にさせていただいた。

(1)概観

 19世紀のフランスの作家ジュール・ヴェルヌが1869年に発表した小説「月世界旅行(原題:Autour de la Lune)」では、長さ900フィート(約274メートル)の大砲から打ち出されるアルミニウム製の砲弾に乗り込んで月に向かう人々の姿が描かれている。イギリスの作家H.G.ウェルズが1895年に発表した小説「タイムマシン(原題:The Time Machine)」には、80万年後の未来を旅する時間旅行機(タイムマシン)が登場する。これは後の多くのフィクション作品に影響を与えた。

 ヴェルヌの「月世界旅行」は、日本でも明治時代中期に翻訳で紹介され、1902 年にはジョルジュ・メリエスがこの作品をもとにした映画を製作している。ウェルズの「タイムマシン」は1913年に「八十万年後の社会」の題名で翻訳版が発表され、1960年、2002年に映画化されている。

 ヴェルヌ、ウェルズは多くのフィクション作品を残したが、未来や宇宙、地底や深海での冒険、さらには宇宙人の侵略を描いたこれらの作品は活劇としても優れており、「月世界旅行」や「タイムマシン」だけでなく多くの作品が映画化されて広まり、大人から子供まで幅広い年代の人々の心をとらえた。

 20 世紀に入り、映画やテレビといったメディアが成長していく中で、こうしたサイエンス・フィクション=SFは大きな流れとなり、現在に至る作品群の中でも様々な想像の産物が登場することになる。

 日本においても、戦前から多くの冒険小説が少年向け雑誌を中心に発表されてきたが、科学や未来、宇宙をテーマとしたフィクション作品がとりわけ盛り上がりを見せてきたのは、戦後に創刊された子供向け雑誌の誌上においてである。

 1951年には手塚治虫が「アトム大使」を発表、翌年からは後にテレビアニメ化される「鉄腕アトム」のマンガ連載が開始される。宇宙や未来での冒険を描いたフィクションの分野はマンガというメディアを得て、大きく拡大する。「鉄腕アトム」をはじめとする“空想科学マンガ”は、マンガ界のひとつの大きな流れとして定着する。

 一方、映画では1954年に「ゴジラ」が公開され、その後の“怪獣ブーム”につながる作品群が生まれていく。テレビでは「月光仮面」(1958年)、「遊星王子」(1958年)、「ナショナルキッド」(1960年)といった初期のヒーローもの特撮番組が人気を集めたが、未来の生活や未知の科学を描いた「空想科学」をテーマとした番組の人気を決定的にしたのは、前出の連載マンガを原作に、1963 年に放送を開始した国産初のテレビアニメシリーズ「鉄腕アトム」である。当時遠い未来だった21 世紀を舞台に七つの力を持った10万馬力の少年ロボットが活躍するこのテレビアニメは4年にわたって放送され、最高視聴率40%の大ヒットを記録するとともに、空想科学アニメのブームを起こした。

 この後、とりわけアニメやマンガの分野において、日本のフィクション作品は特異な発展を始める。1974年にテレビ放送を開始した「宇宙戦艦ヤマト」、1979年放送開始の「機動戦士ガンダム」といった作品によって、成人以後もアニメを楽しみ続ける大人のファン層が生まれ、マンガ雑誌においても1980年代以後の青年向けコミック誌、マニア向けコミック誌の相次いだ創刊等により、マンガは子供から大人までが楽しむメディアとなった。

 アニメやマンガにおいてこうしたファン層が生まれたのは、クリエーターたちが子供にとどまらないティーンエージャーや大人の年代も感情移入ができる作品を提示したことに起因する。1960年代においては比較的荒唐無稽な設定が許されたフィクション作品も、作品にリアリティを持たせるための緻密な設定が作られるようになっていった。例えば、「機動戦士ガンダム」では、巨大なモビルスーツが戦闘の主力として白兵戦を行う理由として、通信障害を生じ、レーダーを機能させなくなる“ミノフスキー粒子”という架空物質を設定している。

 このように日本において、マンガやアニメが大人のファン層に拡大していったことは、その後の作品の内容に変化をもたらし、それを受け取る読者や視聴者に深い影響を与えている。今回の調査にあたっては、Facebookアンケートの中で“未来を描いたフィクション作品として最も印象に残る作品タイトル”をご回答いただいたが、回答の中で最も多かったのも、「鉄腕アトム」を中心とするアニメ作品だった。

 海外において、SF作品は主に映画や小説の分野で語られることが多いが、こうした変遷を辿った日本においては、アニメやマンガが一大分野として発展し、それが海外にも影響を与えている。

 ヴェルヌ、ウェルズの時代から100年あまりの間のSFを中心としたフィクション作品の道筋を大雑把に概観すると以上のようになるが、この流れの中で多くの作品が生み出され、様々な未来の姿が提示されてきた。

 以後、ICT分野のカテゴリーを5つに分け、本パートを含む全パートにわたって、SFを中心としたフィクション作品の中で描かれた未来の社会や機器をたどり、検証を進めていきたい。

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Topics

 
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Profile

●内閣官房 ポップカルチャー分科会議長
●内閣官房知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会座長
●内閣官房新戦略推進専門調査会 規制制度改革分科会委員
●内閣官房 クールジャパン戦略推進会議委員
●文部科学省 学校教育の情報化に関する懇談会 委員
●文部科学省 コミュニケーション教育推進会議委員
●総務省 国際標準化戦略に関する検討チーム委員
●総務省 ホワイトスペース推進会議委員
●文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」委員
●経済産業省「新しいライフスタイルのための映像ビジネス環境に関する 調査研究会」座長
●総務省 情報通信白書編集委員会座長
●総務省 デジタルコンテンツ創富力の強化に向けた懇談会座長
●総務省「コンテンツ海外展開協議会」座長
●総務省 地方発の放送コンテンツ発信力強化に向けた懇談会 委員
●総務省 近未来におけるICTサービスの諸課題展望セッション委員
●総務省 先導的教育システム実証事業プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)プロジェクト・マネージャー
●一般社団法人日本民間放送連盟 ネット・デジタル関連ビジネス研究プロジェクト座長